本書は、2012年に初版が出版され、フードサービス分野へのクックチル方式の入門書として10年にわたり利用されてきました。コロナ禍を経験し日常が戻りつつある中、フードサービスにおける人手不足、あるいは原料高は業務の存続にも踏み込む事態が進行しています。ファミリーレストランでは、配膳ロボットなども当たり前に目にする昨今です。
現在、初版から10年を過ぎて、調理から提供までをシステム化し、厨房の労働環境を改善して、より安全な料理を楽々提供できるクックチルの必要性はますます高まっています。
また、2022年6月からは、食品関連全ての業種へのHACCPによる衛生管理が義務化され、温度・時間管理等、クックチルの持つ衛生面での優位性も広く認められ、今後ますますその幅広い利用が求められています。
改訂にあたっては、クックチルシステム向けに、厚生労働省による「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に従って衛生管理計画をたてることができるように解説しています。まさに、品質向上・省力化・HACCP対応の3拍子揃って解説されたクックチルのわかりやすい入門書として、今後も皆様のお役に立てると存じます。
第1 章 問題解決への出発点
1. フードサービスが抱える様々な問題・課題
2. 作りたてとは 3. クックチルとは4. 厨房で行うクックフリーズ
第2 章 食分野別のクックチル利用法
1. 病 院
1 問題・課題
2 食の安全性と適温提供
3 人件費の低減
4 その他の課題
5 適温提供のための一方法 ― クックチル/病棟パントリー方式
6 クックチルの利点を活かした成功事例
2. 社員食堂
1 問題・課題
2 平準化の例
3 ビュッフェ式の例
4 複数の社員食堂に供給する集中調理センター
3. 個室型ユニットケアの老人福祉施設および有料老人ホーム
4. ホテル・宴会
5. フランス料理店、イタリア料理店
6. 和食店
7. 弁当・惣菜工場
8. 集中調理センター(セントラルキッチンまたはセントラルプロダクションユニット)
9. 学 校
10. 配 送
1 配送時の包装形態
2 配送方法
第3 章 真空調理、クックフリーズ、包装後加熱・冷却
1. 真空調理
2. クックフリーズ
3. 包装後加熱・冷却
第4 章 クックチルの衛生管理
1. 衛生管理の基本
2. HACCP による衛生管理
3. HACCP の制度化 ― HACCP に沿った衛生管理
4. HACCP の考え方
5. HACCP の考え方を取り入れた衛生管理で実際に行うこと
第5 章 クックチルシステムの導入を成功させるために
1. 過去の苦労例、失敗例
1 導入目的を周知徹底しなかった例
2 厨房レイアウトに大きな無理があった例
3 ブラストチラーを必要台数買わなかった例
4 ホテルパンの洗浄を考慮しなかった例(苦労例)
5 ブラストチラー、冷凍モードからチルモードへの変更に苦労した例
2. 成功に導くために
3. 再加熱の重要性とサテライトの役割
4. 成功か失敗か?
5. 運営の評価
第6 章 欧州のクックチル事情